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2022.04.21

漫画系デザインの心得
〜作品タイトルロゴ編〜

漫画系デザインの心得<br>〜作品タイトルロゴ編〜

漫画のロゴは奥が深い!

初めまして、3度の飯より漫画が好きな高橋です。漫画ってどこをデザインするの?と思われる方もいらっしゃると思うので軽く説明しますと、デザインする場面は実はたくさんあるんです。その中でも、一番作る機会の多い漫画作品のタイトルロゴの制作プロセスについてお話ししようと思います。作品タイトルロゴは、基本的にタイトルロゴ(漫画の掲載雑誌の冒頭の作品扉に入ってるロゴ)とコミックスロゴ(単行本に入っているロゴ)の2つがありまして、今回はタイトルロゴを例として説明します。

制作前段階

日頃から本屋などに行って市場調査をしています。webなどでも、暇があれば参考になりそうなストック集めは常にしておきます。漫画のデザイン以外の方が参考になったりするので、
色々なコンテンツにアンテナを張って引き出しを増やしておくと良いです!

依頼後

担当編集さん(クライアント)と打ち合わせが始まります。作品あらすじ、作品のジャンル(ギャグ系、切ない系、甘々系、シリアス系、など)の他に、時には編集部での売り出し方などを打ち合わせします。例えば、「可愛いロゴで」という要望を受けても可愛いの種類は沢山。担当編集さんとイメージの擦り合わせをきちんとすることが大事です。既存の作品ロゴを例に話し合うとお互いにイメージがつきやすいのでよくやる手法です。

制作開始

作品(イラスト)が主役であることを念頭にいれます。私の場合、出来るだけ最低1案は作字のロゴを作るように心がけています。具体的に作業中に意識していることは以下の5つです。

  • 可読性
  • 単調にならないように
  • 文字間やウエイトのバランス
  • 無意味にロゴが浮かないように、イラストとマッチさせる
  • 掲載誌のトンマナを合わせる

これをもとに「フォントベース」「作字」別に、架空の作品タイトルロゴで制作してみました。

架空のタイトルでロゴを作ってみる

タイトル:『恋と天使とチョコレート』

設定は女児向け〜少女向けの恋愛作品。物語は天使の女の子に恋する人間男の子で、チョコレートがキーワードになるファンタジーなラブストーリーと仮定します。あえて作品雰囲気のジャンルを決めずに、ロゴによって変えてみました。

フォントベースのロゴ

フォントから作る場合は、作品に合いそうなフォントを一通り出してイメージを固めることから始めます。似たような雰囲気を選ばないようにフォントをピックアップ。

フォントベースの完成ロゴ
使用書体:DS-dada Regular

女児向け作品を仮定。強弱をつけ、文字ごとにイメージとなるモチーフを多様しました。『恋』にはハート、『天使』には天使の輪、『チョコレート』には欠けを表現。モチーフを多用し強弱をつけることによって対象年齢が下がります。元気で楽しげな雰囲気にしました。女児向けと仮定しましたが、掲載雑誌によっては少年誌のラブコメ作品のロゴになっても違和感ありません。

フォントベースの完成ロゴ
使用書体:DS-namikaze Regular

こちらはやや年齢層を上げて小学校高学年〜高校生くらいを仮定。文字のパーツを分けるなどの変化をつけて単調にならないように工夫しています。モチーフを多用せずリボンのみ飾りに入れることによって、対象年齢が上がるようにしました。ピュアで爽やかな可愛らしい作品をイメージしました。

作字のロゴ

日頃から完成までの作業プロセスを考えながら、雑誌や街中で見かけるロゴを見ていると不思議と引き出しが増えます。大小や細かい空きなどのバランスは、経験を積んでいくうちに培われる部分が多いかもしれません。

作字の完成ロゴ

女児向け作品を仮定。フォントベースと同様に、モチーフを多用し、さらに配色も増やして幼さを出します。ウエイトも太くしてポップで元気な雰囲気にしました。接続詞は小さくし、漢字を太くするとバランスが整います。一番ギャグ寄りのロゴにしました。

作字のロゴ

中学生〜高校生くらいを仮定。細いロゴにして大人しめなテンションにし、ワンポイントに羽を使用してみました。切ない比較的大人っぽいラブストーリーで、一番年齢層の高いロゴをイメージしました。

完成したロゴをイラストにはめる

雑誌にはイラストの上にロゴが配置され、著者名、大見出し、キャッチ、短いあらすじアオリなどが入ります。出来上がったロゴを実際にイラストに配置してみるとコチラ!

扉イメージ
ロゴの配色はイラストになじむ様に変えました。

コミックスロゴでは制作プロセスや意識することも変わってきますので、それはまたの機会に。最後まで読んでいただきありがとうございました!


弊社、chocolate.では、各種デザインのご依頼を承っております。
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Written Bytakahashi

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